【読んだ】決断力 羽生善治 (著)

将棋の世界では一手一手がまさに決断の連続。

僕は将棋のルール自体知らないし、対局をテレビなどで見た事もあまりないのだけれど、羽生善治さんはそんな僕でも知っている。

その将棋の世界でずっと第一線で活躍されている棋士、羽生善治さんの書籍を読んでみた。

まず、この書籍では決断力を高める具体的な方法が示されている訳ではない。

そうではなく、最善の決断を下せる状態をどのように作るのか?そういったことが羽生さんの見解として示されている。

そもそもの問題として、決断をしたところでその決断が間違っている場合がある。羽生さんは将棋という世界で決断をし駒を動かしているけれど、それでも間違えることがある。

それどころか、敢えて自分はあまり馴染みのない相手の得意な戦術で戦う時すらある。

何故、そのようなリスクを取るのか?

羽生さんは若い頃は勝ちに徹していたらしい。

それはアマからプロに上がるには年齢制限があり、また、毎年プロに上がれる人数も限られている狭き門。そこでプロになるために勝率重視で、言ってみれば目先の勝利を優先して勝ちに徹していた。

しかし、今は相手の土俵に敢えて立つことで、自分のアイデアを相手から引き出してもらうことも多いという。

そうすることで、自分にとって新たな発見がある。たとえ、その時の決断によって悪い結果が出たとしても、そこに挑戦の楽しさがあり、自らの成長がある。

自分の得意な形ばかり続けていると飽きがきて、世界が狭くなり、アイデアも限られてしまう。昔は勝ちに徹する将棋だったが、今は自分自身が対局時に面白いと思える将棋を打つように心がけている。

目先の利益も大事だが、長く続けるためには先行投資的な研究もしていかなくてはいけない。長く続けるためには勉強法も変えていかなくてはならない。

いかにモチベーションを持続させ、自分自身成長させるか?を羽生さん常に考えているように感じる。

また、IT による情報化の流れが将棋の世界も変えた。

年間二千局もの棋譜がネットによって簡単に検索可能になり、過去10年分、約二万局もの棋譜がデータ化されているという。それによって、将棋の学術的な研究が進み、その日通用した戦術は翌日には太刀打ち出来なくなるということが起きている。

しかし、そういう莫大な情報は知識として得ても意味はなく、結局は自分の手を動かして知恵にしなければならない。いかに知識を知恵にするかがとても大事だと何度も語れれている。

要は「知っている」ということだけではなく、何故そのような局面に至ったのか?そういう生きた情報を自分の中に取り入れていかなければならない。そして、知識に自分の思考やアイデアをプラスして血肉にしていかなければならない。

面白いのは、IT による情報化の流れによりプロとアマの垣根が低くなってきているということ。

プロもアマも関係なく同じ情報を得ることが出来るようになったため、アマであってもプロ並みに強くなることが出来るようになった。

そのような時代において「プロらしさ」とは何なのか?そのことも本書で書かれている。

基本的には将棋の世界で戦う上での羽生さんの情熱が伝わる書籍ですが、将棋の世界のみに閉じた内容ではなく、将棋を知らない僕が読んでも味わい深い内容でした。

この書籍のタイトルである「決断力」。

決断力とは、結局は情報から導かれるものではなく、自分自身の頭で考えて決断するものなんだと感じた。

つまり、決断力と聞くと決断することばかりにクローズアップされるけど、そこに至るまでのプロセスこそが最も大事なのだろう。

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