モニタリング環境の測定、フラットなリファレンス・サウンドにキャリブレートするSonarworks Reference 4 を導入しました!!
これまでキャリブレーションソフトの必要性を感じていながら、どうしても音源とかプラグインなどに目が行きがちで、ずっと導入を先送りにしてた。ただ、導入した今なら声を大にして言える。
全員キャリブレーションソフトを導入すべき!!
理想的なモニタリング環境を手に入れるために
Sonarworks Reference 4 について解説する前に、まずはモニタリング環境の重要性から“なぜキャリブレーションが必要なのか”書いていきたい。
理想的なモニタリング環境に必要なもの
モニタリング環境の重要性は僕が書くまでもなく皆さん各々分かっているはず。ただ、胸を張って”自分のモニタリング環境は問題ありませんっ!!”と言える方はどれだけいるだろうか。
この時に問題になってくるのが、自分のモニタリング環境について”フラットな特性から何がどれだけズレているのか”を客観的に把握できていないこと。
低域が多いとか、中域が凹んでるとか感覚として理解はしていても、それを数値として客観的に把握するのは難しい。
また、その感覚に頼って吸音材等でルームチューニングを施し、モニタリング環境をフラットにしようと頑張ったとしても、きちんとチューニングされたのか判断するモノサシがないため、効果を客観的に判断することができない。
つまり、理想的なモニタリング環境を手に入れるためには、現状のモニタリング環境の問題について客観的に把握し、フラットにチューニングされたのか判断可能な”基準”となるモノサシが必要なんだ!!
なぜキャリブレーションが必要なのか
キャリブレーションを導入することで、上述した”理想的なモニタリング環境に必要な2つの要素”を手に入れることができる。
- 現状のモニタリング環境の問題を客観的に把握 ※1
- フラットにチューニングされたのか判断するための”基準” ※2
上記はSonarworks Reference 4 での測定結果。見て分かるように、一部の低域が突出しており、中域も若干落ち込んでいる。また、左右のモニタースピーカーで周波数特性が若干異なっている。
キャリブレーションを導入することで、今のモニタリング環境の現状について”フラットな特性から何がどれだけズレているのか”を上記のように客観的に把握することができる。(※1)
そして、キャリブレーションソフトが提示する”正確な基準”に補正することで、理想的なモニタリング環境を得ることができる。(※2)
決して感覚に頼らず、あくまで客観的に”現状のモニタリング環境の問題を把握”し、“正確な基準値へチューニング”を行うためにはキャリブレーションソフトが必要になってくるんだ。
Sonarworks Reference 4 で理想的なモニタリング環境を手に入れよう
理想的なモニタリング環境を得るためにはキャリブレーションソフトが必要なことが分かって頂けたと思う。
ここからは、僕が導入したSonarworks Reference 4 について書いていこう。
計測マイク付属版を買おう
Sonarworks Reference 4 にはヘッドフォンキャリブレーション用途やモニタースピーカー含めたキャリブレーション用途など、いくつかのエディションがある。
購入する場合、ヘッドフォンとモニタースピーカーのキャリブレーションが行え、計測マイクが付属している“Reference 4 Studio Edition with Mic” を購入しよう!!
計測マイクはフラットな特性であれば手持ちのマイクでも構わないと謳われてはいるけど、理想的なモニタリング環境を追求するのであれば、専用のマイクと組み合わせて使うのがベスト。また、Sonarworks は計測マイク1本1本を厳重に管理しており、付属マイクのプロファイルを使って測定できる。
Sonarworks Reference 4 の測定はめちゃくちゃ簡単!!
上記動画のように、測定するためのソフトウェア”Reference 4 Measure”の指示に従って計測用マイクの位置を動かすだけ。手持ちだとマイクの高さがブレそうだったので、僕はマイクスタンドを併用して計測を行ったよ。
測定結果
測定した結果は以下。
低域の120Hz付近、および中低域の400Hz付近に大きなピークがあり、若干中域が落ち込んでいるのが分かる。
Sonarworks Reference 4 導入以前のモニタリング環境では、ずっとコンコンと音が詰まったような印象を受けていた。恐らくこれは中低域の400Hz付近の大きなピークが原因だと思う。
導入後
上記で測定した結果を基に、モニタリング環境をフラットな状態に補正できる。
よく”フラットな音はつまらない音”なんて聞くけど、Sonarworks Reference 4 で補正した音はリスニングに耐えうるというか、めっちゃ音楽的な音という印象。位相の狂いやフィルター感などの違和感が一切なく、”補正してます”感がまったくない!!
低域、中低域の問題が改善したことによって低域がめちゃくちゃ見えやすくなっており、中域の落ち込みも改善しているので両サイドの音の密度が増している。
そして、何よりもフラットな特性を実感できたのは定位に関して。
以前はモニタースピーカーをどうセッティングしてもセンターにブレを感じていた。それが導入後センターがガチッとキマっている!!
測定結果から分かることだけど、補正前はモニタースピーカーのLRで周波数特性が微妙に異なっている。壁からの距離とか配置されているモノの位置などしょうがない部分ではあるけど、このような状態では必ず定位がブレてしまう。
LRで微妙に異なる周波数特性が補正されることで、定位のブレがなくなりセンターがガチッとキマるんだと思う。
ハッキリ言って、導入後の音を聴いてしまうと、以前のモニタリング環境には戻れなくなる。それだけ効果が強烈であり、なぜ今まで導入を見送ってきたのか、今は後悔しかない笑。
そもそも、皆さんはフラットな音を聴いたことがあるだろうか?
冒頭でキャリブレーションソフト導入の重要性を書いたけど、フラットな音がどういう音か分からない状態では、モニタリング環境の適切なチューニングなんて不可能。それを可能にするためには、絶対にキャリブレーションソフトが必要になってくるんだ!!
ヘッドフォンもキャリブレーション可能
Sonarworks Reference 4 はモニタースピーカーだけでなく、手持ちのヘッドフォンまでキャリブレーションすることができる!!
ヘッドフォンは性質上自身で測定することが難しいことから、Sonarworks から各ヘッドフォンの特性をプリセットという形で提供されている。とにかく、プリセットの数がめちゃくちゃ多いので、一般的なヘッドフォンであれば必ず提供されているはず。
ちなみに、僕が使用しているSONY のMDR-CD900ST についてもプリセットが用意されている。
夜遅くしか作業できないという方にとって、このヘッドフォンのキャリブレーションはめちゃくちゃ有効だと思う。
レイテンシー
このようなキャリブレーションソフトでは出力に対して常時補正を行うため、必ずレイテンシーが発生してしまう。
ただし、Sonarworks Reference 4 ではレイテンシー量を自身でコントロールすることができ、なんとゼロ・レイテンシーでのプラグイン処理すらも可能にしている!!
アレンジの段階ではゼロ・レイテンシーで音場補正を行い、ミックス以降の過程ではより正確な音場補正としてリニアフェイズで処理する使い方がオススメ。アレンジ段階からキャリブレーションすることによって音が正しく判断できるため、スムーズにミックスへ移行できるよ!!
今すぐキャリブレーションソフトを導入しよう!!
今回紹介したSonarworks Reference 4 のようなキャリブレーションソフトを使うことで、自身のモニタリング環境は劇的に向上するはず。
導入時の初期コストはかかるけど、それを補って余りあるほどの効果が期待できるよ!!
そもそも、モニタリング環境を自分自身の手でチューニングしようとした場合、色んな知識が必要とされる上、最初は手探りで進めていく形になってしまうため、金銭的にも時間的にも大きなコストが発生してしまう。
それらのコストを考えたら、Sonarworks Reference 4 を導入するコストは本当に小さいものだし、これまで書いたようにモニタリング環境の重要性を理解しているのであれば、必ず導入すべきソフトだと思う。
音源やプラグインよりも、まず先にSonarworks Reference 4 を導入するんだ!!