IK Multimedia のフィジカル・モデリング・ベース音源 MODO BASS を導入しました。
メインで使用しているベース音源 Spectrasonics Trilian が抜群にイイため、ずっと導入の機会を見送っていたんですが、Trilian で不満に感じていた箇所がMODO BASS で補えると感じたことから導入しました。
今回はTrilian 愛用者の視点から、MODO BASS を紹介しようと思います。
フィジカル・モデリング音源という利点を生かしたMODO BASS
自分のベースをデザインする程のカスタマイズ性
MODO BASS の他のベース音源にはない特徴のひとつが、サンプルベース音源ではなくフィジカル・モデリング音源だということ。フィジカル・モデリング音源とは端的に言うと、楽器の振る舞いを計算して出力するような形式。
フィジカル・モデリング音源だからこそ、このMODO BASS はベース本体のピックアップ等の電気回路、弦のコンディション、奏法に至るまでユーザーが好みに応じてカスタマイズすることが可能。自分オリジナルのベースをデザインするという強烈な個性を持っている!!
このカスタマイズ性の高さは、Trilian 含めたサンプルベース音源ではまず味わうことができない。この玄人向けのカスタマイズ性は、どこかPositive Grid のBIAS シリーズに通じる音作りの楽しさがある。
MODO BASS の場合、調整可能な全てのパラメータはあくまで音楽的な振る舞いの範囲に収まっている印象。まずは”Model”タブからベース本体のモデルを選び、そこから自分好みのトーンにカスタマイズいくイメージ。
カスタマイズ性についてTrilian と比較
Trilian のようなサンプルベース音源は用意された音を鳴らすことしかできないため、ユーザー自身で音を調整できる幅が狭い。そのため、極論”その音が気に入るかどうか”、”曲中で使えるかどうか”にかかっている。
MODO BASS の場合、フィジカル・モデリング音源だからこそ調整の幅が広く、ユーザー自身で音自体を作り込んでいくことができる。
要は、MODO BASS の方が音作りの自由度が高い。
このように書くと、調整の幅が広いMODO BASS の方が良い印象を抱くと思う。けど、煩雑な音作りを全てすっ飛ばしたい方は、Trilian のようなサンプルベース音源の方が使い勝手は良いだろうし、1音1音の説得力は断然Trilian の方が勝っている。
多彩な演奏スタイルや奏法
MODO BASS の他のベース音源にはないもうひとつの特徴が、多彩な演奏スタイルや奏法を使用することができるという点。これも、フィジカル・モデリング音源ならではと言える。
特に、異弦同音の扱いは低音を支えるベースにとってすごく大事。弾く弦をユーザー自身が指定することで、ベースらしいフレーズを打ち込むことができる。
また、奏法においては、各所で言われているようにスライドの表現力がスバ抜けて高い。どのポジションからでもスライドできる上、スライドする速度や音程幅などMIDI CC によって自由に打ち込むことができるし、きちんとフレットを通過しているようなサウンドになっている。
よりリアルなスライドにするため、スライド時のノイズを調整できるのもポイント高い。
ベース音源としての表現力の高さは、本当にズバ抜けていると感じる。
表現力についてTrilian と比較
Trilian でずっと不満に感じていた箇所が、このベースとしての表現力の部分。
サンプルベース音源という特性上、スライドに関しても収録されているサンプルを鳴らすため、スライドする速度や音程幅などが固定されてしまう。僕にはフォル的にブ〜ンと鳴らす用途でしか使い道がなかった。
スライドに関してはピッチベンドで対応するとして、それ以上にTrilian の表現力の部分で悩んだのが異弦同音の扱い。
本当は4弦の音を出したいのに異弦で収録されたサンプルが鳴ったりする。なので、本来は4弦ハイポジションで弾く想定のフレーズが、3弦だったり2弦だったりのサンプルで再生されてしまうケースが多い。
前述したように、Trilian は1音1音の説得力がスバ抜けて高い。それ故、弦が異なる時の音の違いもハッキリ分かってしまう。
それらのTrilian でずっと不満に感じていた表現力の部分が、MODO BASS では全て解消している!!そして、この表現力の高さがMODO BASS を導入した最大の理由!!
MODO BASS の表現力の高さは、他のベース音源の追従を許さないほど高いと感じる。
Trilian 愛用者から見たMODO BASS 総評
ベース音源としてTrilian とMODO BASS はよく比較されると思う。これまで述べたことを端的に纏めると以下のようになる。
- ベースとしての表現力の高さはMODO BASS
- ベースとしてのサウンドクオリティの高さはTrilian
Trilian の弱い部分(ベースの表現力)をMODO BASS がうまい具合に補っており、MODO BASS の弱い部分(ベース特有の低域の太さ等)をTrilian が補っているような印象。
僕個人的な使い分けとして、以下のように想定している。
- 動きのあるベースラインを多く含む楽曲では表現力の高いMODO BASS
- Low B を使用するような場合は、多弦ベース対応のMODO BASS
- それ以外はTrilian
基本はTrilian メイン、Trilian でキツそうな場合(異弦同音など)にMODO BASS を使うようなイメージ。
要は、音源の長所を引き出せるような使い分けが肝ですね!!
MODO BASS についてまだ語り尽くしていないので、後日使い方や音作りについて書いていこうと思う。