ヴィンテージ感のあるサウンドから最新のサウンドまで!!Waves Abbey Road TG Mastering Chain

スポンサーリンク

DTM で音楽を楽しんでいると、いつしか「アナログ機器をモデリングしたマスタリングデバイス」が使いたくなると思います。ただ、そういったプラグインは古めかしいサウンドに終始するものも多く、その独特の質感がかえって邪魔になるケースもあります。

そこで今回は、ヴィンテージ感のあるサウンドから最新のサウンドまで幅広く対応できるマスタリングデバイス、Waves Abbey Road TG Mastering Chain を紹介します。

Waves Audio - 日本 - Abbey Road TG Mastering Chain
70年代以降、Abbey Road Studiosにおけるすべてのマスタリングを支えてきたEMI TG12410 Transfer Consoleを、モジュラー方式のマスタリング・チェイン・プラグインとしてモ
スポンサーリンク

アビー・ロード公認マスタリングデバイスを使ってみよう!!

今回紹介するAbbey Road TG Mastering Chain は、アビー・ロードのマスタリングスタジオで現在も稼働しているEMI TG12410 Transfer Console をモジュラー方式のマスタリング・チェイン・プラグインとしてモデリングしたものになります。

見た目から”いなたい古臭いサウンド”になると思われそうですが、バキッとしたクリアなサウンドにも対応しているのがポイントです。(※以下デモではマスタリング処理をしているため、エフェクトON時の音量に注意して下さい)

※Abbey Road TG Mastering Chain OFF

※Abbey Road TG Mastering Chain ON

上記デモは、マスターにAbbey Road TG Mastering Chain のみ挿して処理したサウンド。音の分離感やパンチ感等、どれをとっても最高のサウンドですよね。

マスタリング用途に特化したプラグインのように見えますが、後述するように各モジュールを単体で使うことが可能なため、マスタリングだけでなく個別トラックの音作りとしても活用できるのがポイントです。

各モジュールについて

ここからはAbbey Road TG Mastering Chain で使える各モジュールについて、ザックリと解説していきます。

癖の強いINPUT モジュール

INPUT モジュールでは、LR or MSのバランスや適切なインプット量を決めます。このモジュールのポイントは、何と言っても“Tape Equalizer”ですね!!ここで独特の質感を付加できます。

“Tape Equalizer”によって中域を強調したり、伸びやかな高域を付加したり、ドンシャリサウンドにしたりと、サウンドキャラを変えることができます。ただ、癖がめちゃくちゃ強いので、楽曲に合わなければ基本FLAT(質感を付加しない) で使うことになります。

※Tape Equalizer FLAT

※Tape Equalizer IEC to NAB 7.5ips

上記デモでは、”Tape Equalizer” をドンシャリ傾向の強いIEC to NAB 7.5ips に設定しています。中域が上手い具合に抜けたことで、太さと音抜けが強調されてますよね。

実際にマスタリング用途で使う場合、2Mix のバランスを崩さないようにFLAT で使うことが多いと思いますが、ドラム等のバストラックや個別トラックで質感を変える場合に結構使えます。

MS処理が肝のTONE モジュール

TONE モジュールはMS 処理可能な4 バンドEQ になります。

ゲイン以外は全てダイヤル式のため、幾分ザックリとしたEQ 処理を施すことになりますが、アナログ機器ならではのザックリ感が良い。MS 処理可能と書きましたが、MS 処理が理解できているとTONE モジュールのポテンシャルがより発揮できると思います。

TONE モジュールの補完的なFILTER モジュール

FILTER モジュールは、ローパス、ハイパス、プレゼンスのシンプルな3 バンドEQ になります。

ここでのポイントは、プレゼンスの使い方ですね。TONEモジュールとは異なる周波数帯域を選択して調整できるため、TONEモジュールでは調整しきれない帯域の補完としても使えます。

異なる質感が楽しめるLIMITER モジュール

LIMITER モジュールは、Original とModern 2つの異なる質感が楽しめるコンプレッサー/リミッターになります。

コンプレッサーのタイプとして、Original による高域がやや落ち込むTG12413 オリジナルの質感、Modern による現代風VCA ベースの質感が選べます。LIMITER モジュールのコンプのタイプによって質感が大きく変わることから、サウンドの方向性に一番影響を与えるモジュールとも言い換えれます。

冒頭で”ヴィンテージ感のあるサウンドから最新のサウンドまで幅広く対応できる”と書きましたが、ヴィンテージ感のあるサウンドが欲しければOriginal、最新のサウンドが欲しければModern といったイメージで使えばOK です。

各モジュールを単体で使ってみよう

Abbey Road TG Mastering Chain はモジュール化されているというのもポイントです。各モジュールON/OFFの切り替えが可能なため、必要なモジュールのみ使うことができます。

個別のギターにFILTER モジュールで高域の綺羅びやかさを加える、リズムトラックにINPUT モジュールの”Tape Equalizer” で質感を付加してみる等、マスタリングだけでなく、個別トラックやバストラックの音作りとしても使えます。

FILTER モジュールはこれだけプラグイン化して欲しいと思うほど、個人的に好きなモジュールですね。

MS 処理を理解しているかどうか

一般的なステレオ処理でも十分楽しめますが、Abbey Road TG Mastering Chain のポテンシャルをより発揮するためには、MS 処理の理解が必要です。その意味で、Abbey Road TG Mastering Chain は初心者向けではないのかもしれません。

ただ、一度MS 処理に慣れてしまえば、これ程短時間で見違えるようなサウンドが得られるマスタリングツールはなかなかないと思います。

豊富なプリセットから選ぶだけもOK

僕も含め、MS 処理に慣れていない方は多いと思います。また、そもそもマスタリング自体慣れていないという方もいるはず。そんな方は好みのサウンドが得られるプリセットを選ぶだけでもOK です。

Abbey Road TG Mastering Chain はプリセットの量がハンパない!!必ず、好みのサウンドが得られるプリセットが見つかるはずです。慣れてきたら、プリセットから少しパラメータを動かして音の変化をみてみたり、プリセットの設定を真似ながら自分でイチから設定してみて下さい。

マスタリングから音作りまで、あらゆる場面で使ってみよう

このように、ヴィンテージ感のあるサウンドから最新のサウンドまで幅広く対応できる上に、マスタリング用途のみならず音作りまでカバーできます。

ポテンシャルをより発揮するためにはMS 処理を理解する必要があるため、決して初心者向けとは言えないかもしれません。ただ、それを補うための豊富なプリセットや、音作りで活用するための個別モジュールの使用等、Abbey Road TG Mastering Chain によって楽曲制作の幅が物凄く広がると思います。

是非、一度試してみて下さいね。