Media Integration 公式サイトの記事で、クリス・ロード・アルジさんがミキシングのTipsを語っている動画が公開されています。

具体的なエフェクトのセッティングではなく、ミキシングを行う上での「準備」や「心構え」がメインです。「もっと具体的な話しが聞きたい」と思う方がいらっしゃるかもしれません。ですが、僕は大変興味深く、終始うなずきながら記事を読んでいました。
というのも、僕が好んで使っているWaves CLA MixHub は、動画で語られている内容の多くを体現するように作られていると感じたからです。

トップエンジニアのミキシングを体現するWaves CLA MixHub
CLA MixHubとは
CLA MixHub は、クリス・ロード・アルジさんが所有するSSL コンソールをモデリングしたプラグインです。詳しくは、以下の記事を読んでください。

CLA MixHub を使う理由は作業スピードにあります。色んなプラグインを組み合わせてミキシングするよりも、作業スピードが圧倒的に早いからです。
なぜ、こんなに作業スピードが早いのか。
これまで考えたこともなかったんですが、ミキシングのTips 記事を読んで分かりました。CLA MixHub はクリス・ロード・アルジさんのミキシングにおける「準備」や「心構え」までワークフローとして落とし込んでいたからです。
ミキシングのTips動画で語られている内容が詰め込まれている
ここからは、ミキシングのTips 記事で語られている主要な内容と照らし合わせながら、CLA MixHub がどのようにそれを体現しているのか、見ていこうと思います。
全てのトラックを常に同じ場所と順番で並べる
全てのトラックを自分が扱いやすい場所と順番で並べましょう。ミキシングを始める前にトラックを整理しておけ、ということです。どこに何があるのか考える必要がなく、意識を全てミキシングに向けることができます。
ミキシングのTips 記事では「レイアウトのルーチン化」として語られています。どんなセッションであっても、自分が慣れ親しんだトラックのレイアウトにしましょう。
CLA MixHub では、Bucket View によってトラックのレイアウトを行います。
Bucket View とは、複数のトラック(最大8トラックまで)をひとつのバケットとしてグルーピング、トラックをまたいだ調整が1画面で行える機能です。
僕はドラム、ベース、ギター、シンセ等をバケットでグルーピングしていますが、バケットにトラックをまとめることが、自然と「レイアウトのルーチン化」に繋がっています。
必ず使うプラグインは事前にインサートしておく
ボーカルにはボーカル用の、ドラムにはドラム用の使う可能性があるプラグインは、予めインサートしておきましょう。それも、フェーダーバランスを取る前の準備段階からです。
ミキシングを進めると同時にプラグインをあれこれ選び、追加していく作業に追われるのは大変。それではミキシングに集中できません。
実は、この内容を見た時、「あっ、僕は事前に全てのトラックにインサートしてる」と思いました。そう、僕はミキシングを始める前に、CLA MixHub を全トラックにインサートしてたんですよね。
CLA MixHub を使うのであれば、自然と全トラックにインサートしているはずです。
お気に入りのプラグインやよく使うプラグインをショートカットメニューに加える
CLA MixHub とは直接関係ない話ですが、プラグインを選ぶ作業を効率化するために、よく使うプラグインはショートカットメニューなどに追加しておきましょう。長々としたプルダウンメニューから選ぶのは、時間の無駄です。
「プラグインは事前にインサートする」話にも繋がりますが、プラグインを選ぶ労力を可能な限り少なくすることが大切です。

ちなみに、僕はミキシングで行う処理のほとんどをCLA MixHub のみで完結しています。基本的なEQ とコンプ、フェーダーバランスでイケちゃうんですね。なので、そもそもプラグインを選ぶことすらしていません。
いきなりコンプをかけるのではなく、まずはフェーダーでバランスをとる
まずはフェーダーでバランスをとり、その上で必要な処理をする。曲全体を把握するまでは処理をしないということです。
僕は全トラックにCLA MixHub をインサートした後、フェーダーバランスをとることに集中していました。そして、ミキシングを行う場合も、基本的にCLA MixHub でバランスをとっています。そのため、僕のDAW のフェーダー位置はほとんどが0db になっています。
ボリュームのオートメーションを書いたり、後段にインサートしているプラグインの関係でDAW のフェーダーを動かすこともありますが、トラックをまたいだ調整が1画面で行えるBucket View が使いやすく、基本的にCLA MixHub 内でミキシングを完結しています。
また、コンプの掛けすぎにも言及しています。
CLA MixHub にはクリス・ロード・アルジさんのトラック別の処理フローがプリセットとして収録されていますが、コンプがかかっていないプリセットが多いことに気付いていました。
プリセットベースでミキシングしていると、コンプがかかっていないものが多いことに気付くはずです。
コンプは必要なものだと思いがちですが、あくまで曲全体を聴いて必要だと判断した時にのみ、コンプをかけるべき。ここにもクリス・ロード・アルジさんの考えが強く反映されていると思います。
おわりに
ミキシングTips 記事の内容を知らなくても、CLA MixHub を使えばクリス・ロード・アルジさんのミキシングにおける「準備」や「心構え」まで体現できます。
コンソール感覚でミキシングを行うことは、人によってはハードルが高いかもしれません。僕もそのひとりでした。ですが、今ではCLA MixHub がないと困るレベルまで重宝しています。
使っている人は少ないかもしれませんが、数多いWaves プラグインの中でもダントツでオススメです。
今回紹介したTips 以外にも有益な話が盛りだくさんなので、ミキシングTips 記事にも是非目を通して下さいね。