スタッフY です。
バッキングボーカル(コーラスパート)やリードギター、シンセパッドなど。ミックスを行う上で「もっと音の広がりを出したい」という場合が多いのではないでしょうか。
特に歌モノの場合、これらをセンターパートで鳴らしてしまうとメインである歌と干渉してしまい、一番良く聴かせたい歌が埋もれてしまうという最悪なケースも起こりえます。
そのような時に使うのがステレオイメージャーと呼ばれているエフェクトですね!!

上記はステレオイメージャーの代表格であるWaves S1 Stereo Imager に関しての記事です。確かにこのようなステレオイメージャーで音像を広げることは出来ますが、ミックスで行う上では不都合が起こる場合があります。(その不都合については後述します。)
そこで「もっと音の広がりを出したい」という場合に、是非使って欲しいのがSoundToys のMicroShift です!!
MicroShift で音の広がりを出そう!!
MicroShift でどのような事が出来るかについては、以下の動画を見てもらえると分かりやすいでしょう。
入力音を少量のディレイとピッチシフトによって左右に配置することで、トラックに広がり感を出しています。ダブリング効果に近いので、音がぼやけることなく芯が残ったまま広がりが出ているのが特徴です。
バッキングボーカルやエレピなど、どんなソースでも左右の広がりを出せている上に、センターパートに隙間が出来ているのが動画から分かると思います。この効果によって、音は派手なのに歌がちゃんと聴こえるミックスが簡単に出来ると思いますよ。
操作するポイントが少ないので、誰でも簡単に扱える!!
このMicroShift のポイントとして、操作出来るパラメータが少ないという点が挙げられます。
UI がゴチャゴチャして分かりづらいステレオイメージャーが多い中、MicroShift は本当に必要なモノのみ分かりやすく搭載しています。もちろん、機能的に不足があるということではありませんよ。
このMicroShift では、3 つのアルゴリズムから最適なモノを選択して、「DETUNE」や「DYLAY」ノブでピッチシフトやディレイの効きを変えながら設定していきます。
基本的には「DETUNE」や「DYLAY」もデフォルトの100 %(50% 〜200% の可変幅です)で良いでしょう。と言うのは、選択出来るアルゴリズムがそれぞれ有名な機器の設定をシミュレートしているので、アルゴリズムを選択した状態で既に優れた効果が得られるからです。
その上で、もう少し利き方を小さくしたい or 大きくしたいといった時に、「DETUNE」や「DYLAY」を調整していきましょう!!「DETUNE」や「DYLAY」 を大きくすればするほど、コーラス効果のような音のうねりが加わります。
FOCUS によって低域の広がりを回避出来る!!
ミックス、マスタリングでは低域はモノラルに近く、高域に向かうに従って広がりが出ている状態が良いとされています。イメージ的には逆三角形のような形ですね。
昨今ではシンセベースでもステレオ感を出しているモノがありますが、普通にステレオイメージャーで広げてしまうと低域まで広がってしまう恐れがあります。また、このようなステレオイメージャーでは音がボヤけてしまうんですよね。
シンセベースだけではなく下から上まで鳴っているシンセパッドにしても、そのまま広げてしまうと、先程書いた「低域はモノラルに近く、高域に向かうに従って広がりが出ている」状態からズレてしまうのが想像出来るでしょう。これが、冒頭で書いたミックスで行う上での不都合に繋がってしまいます。
その点、MicroShift ではFOCUS というフィルターを用いることでその問題を簡単に解決する事が出来ますよ!!
FOCUS で指定した周波数帯域以上のみ、MicroShift の効果によって広がりを出すことが出来るので、シンセベースの低域の広がりを回避しつつワイド感を出すということはもちろん、ボーカルの高域のみ広げてAir 感を強調するということも可能です。
プリセット!!プリセット!!プリセット!!
プリセット作成に情熱を傾ける我らのSoundToys。このMicroShift でも多くの(そして、使える!!)プリセットが用意されています。
上述したように、調整出来るパラメータが少ないので、誰でも簡単にゼロから扱えるのがMicroShift の特徴ですが、プリセットを選んでそこから微調整するという使い方も良いでしょう!!
有効的な使い方
先程紹介した動画を見て頂ければ、MicroShift は色んな場面で使えるというのが分かると思いますが、個人的にオススメしたいのは、やはりセンターを空けつつリードを鳴らすような使い方ですね!!
上記のようにセンターでリードギターが鳴っていると、歌が入った時にお互いが干渉しあう可能性があります。よって、ディレイなどの空間系でリードを奥に引っ込めるような処理をする事が多いですが、それだとリードの芯がぼやけてしまいます。
そこで、MicroShift を使って音を広げつつセンターに隙間を作れば解決する訳です!!
※MicroShift で広がりを付加
分かりやすいようにガッツリとかけており、実際は歌が入った状態で詰めないといけませんが、このようにセンターで鳴っているパートの干渉を防ぐという意味合いで音を左右に広げる使い方が良いのではないかと思っています。また、適用後の方が心なしか迫力まで増していますよね!!
ダブリングによるステレオイメージャーだからこそ音の芯を残しつつ広げるので、このように迫力まで出てくる訳です。