今回の動画では、マスタートラックの音像処理で必ず使用するWaves のCenter について解説しています。
このWaves Center はただ単に音をミッドとサイドに分けて処理するのではなく、LRのモニタースピーカの間にあるファンタムセンターとサイドの音に分けて処理します。これによって、普通のM/S処理では不可能な処理がWaves Center では「簡単」にできちゃうんですよ!!
そこら辺も交えながら、Waves Center の魅力を今回は紹介したいと思います。

Waves Center でステレオイメージをコントロールしよう!!
基本的な使い方
Waves Center を使う上での基本的な使い方は、センターとサイドのフェーダーバランスによってステレオ感を調整する使い方ですね。
動画では、サイドを上げて2mix をよりワイドに仕上げ、迫力を出しています。
※Waves Center OFF
※Waves Center ON
マスタートラックのサイドの音像が狭くて楽曲に迫力が出ないと悩んでいる方は、Waves Center でサイドをグッと持ち上げるだけで解決すると思います。それぐらい、このWaves Center は誰でも簡単に最高のサウンドを手に入れることができます。
Waves Center ならではの処理
LOW とHIGH の動作について
Waves Center 上部にある”LOW” や”HIGH” はEQ によるブーストやカットではなく、センターからサイドに、または逆にサイドからセンターに周波数成分を移動させるような意味合いになります。
動画では、サイドだけで2mix を流しています。聴いてみると分かるように、ドラムのキックやベースの低域が結構鳴っていますよね。
※サイドのみ
このサイドの低域を消したいと思った場合、上部のLOW をセンター側に振ることで消すことができます。
※サイドのみ LOW 適用
低域が消えてスッキリしてますよね。
これだけサイドの低域を消すと2mix がスカスカになってしまいそうな気がしますが、この状態でセンターフェーダーを上げていくと、2mix の低域はきちんと残っているのが分かると思います。
これは、サイドで鳴っていた低域は削ったのではなくセンターに寄せた形になるので、サイドの低域はスッキリさせながら2mix 全体としてはきちんと低域のバランスが保たれているということです。
一般的なM/S処理ではEQ を使って調整すると思いますが、それだと2mix 全体の周波数バランスが崩れてしまう可能性があります。その点、このWaves Center は2mix での聴覚上の周波数バランスはそのままに音像を調整することができます。
Punch の動作について
Waves Center 上部にある”Punch”は、センターとサイドの間にあるトランジェント部分の制御に使います。
“Punch” をサイド側に寄せると、センターに定位しているトランジェント部分のドラムが漏れ出してくるのが分かると思います。
※サイドのみ
※Punch をサイドに寄せる
トランジェント成分は楽曲の中でエネルギーに相当するという認識で、例えば、センターに定位しているボーカルを下げるためにセンターフェーダーを下げた場合、同じくセンターに定位しているドラムのキックやスネアなどのトランジェント部分も失われてしまいますね。
それを取り戻すためにPunch をサイドに回すことで、その失われたトランジェント部分、言い換えるならば楽曲のエネルギーを取り戻すことができます。
よく使う設定について
僕がWaves Center で2mix を処理する場合、サイドのフェーダーを上げてステレオ感溢れるサウンドにし、LOW をセンター寄りにしてサイドをスッキリさせます。
ただし、サイドから低域を消すと音の厚み、言うなればエネルギーの部分が乏しくなるので、それを回避するためにPunch をサイドに振って取り戻す設定にすることが多いです。
Waves Center は他では出来ない処理がいとも簡単にできてしまいます。“いとも簡単に”というのが一番大事な部分で、Waves プラグインの”最小限の動作で最高のサウンドを!!”というポリシーがあるからこそ、このようにユーザーフレンドリーなプラグインになっている訳です。
皆さんも是非、このWaves Center で2mix の音像を調整してみて下さい。