スタッフY です。
これまでWaves Chris Lord-Alge Signature Series の各プラグインをレビューしてきました。それらのレビューから、ロック系が好きな方にはこのシグネーチャーシリーズの使い勝手の良さをお分かり頂けていると思います。

Waves Chris Lord-Alge Signature Series の各プラグインのレビューも今回で最後。今回はフィルターや歪みなどマルチエフェクトとして使用出来るWaves CLA Effects をご紹介します!!

使用頻度の高いエフェクトを搭載
このWaves CLA Effects はネーミングから多彩な効果を生み出すことが出来るプラグインだと認識されている方が多いと思います。かくいう私もそのひとりでした。
ただ、実際に使ってみると生み出す効果はそれほど多くないと気付きます。
EQ によるフィルタリング(電話トーンなど)、歪みの付加、空間系、モジュレーション、これらを組み合わせて(もしくは単体で)使いますが、人によってはもっと多彩なエフェクト効果を持ち合わせて欲しいと感じるかもしれません。
ここはWaves CLA Effects の特徴と言っても良いと思いますが、クリス・ロード・アルジさんが楽曲の中で実際に用いるエフェクト効果の中で使用頻度の高いものを厳選して搭載しています。
楽曲の中でフィルタリングを使用して緩急を付けたり、リバーブなどで遠くの方で鳴っている効果を出したり、歪みによるアクセント、追いかけてくるようなロングディレイ。そういった実際に使用頻度が高い効果を誰でも簡単に出せるように設計されています。
いくら多彩であっても、使用頻度が低ければプラグイン自体が煩雑になるだけ。あくまで使えるエフェクトプラグインを目指したWaves CLA Effects からそのようなメッセージを感じます。
実際の使用感
このWaves CLA Effects は特定のパートに音作りとして最初から最後までずっと適用するというよりは、楽曲の中で印象付けるためにピンポイントで適用するのに向いているプラグインだと感じます。
フィルタリングやリバーブなどの空間系を深くかけるなどの処理により、楽曲のアレンジ面でより劇的な展開の移り変わりを演出出来ます。
そういった理由から「何かが物足りない・・・」といった場合に、最適なプラグインだと感じます。
その象徴的な機能がプラグイン画面左上に設置されているSend Long Delay の「HOLD」「THROW」ボタンでしょう。
このボタンではWaves CLA Effects で設定出来るロングディレイのセンドミュートを制御します。「HOLD」の場合はディレイ・センドは常に有効。「THROW」の場合は選択している間のみ有効となります。
これにより、ボーカルトラック上で「THROW」の適用をオートメーションで書くことで、特定のワンフレーズのみ追いかけてくるようなアレンジが即座に可能となります。さらに、ここにフィルタリングなどを適用することで、一味違った効果も演出も出来るでしょう。
また、Waves CLA Unplugged と同様に「DIRECT」ボタンを搭載しているので、リバーブなどのウェット音のみの使用も可能です。

もちろん、そういったピンポイント処理だけでなく、音作りの一環として常に適用する使い方もオススメです。特にEQ とディストーションの組み合わせはベーストラックのパラレル処理やボーカル、ブレイクビーツなどの処理において、その効果をいかんなく発揮出来ると思います。
総評
このWaves CLA Effects は万能なエフェクトプラグインとは言えず、やれることはそれほど多くはありません。ただ、このプラグインが得意としている効果を得たいのなら最短で良い音を簡単に得る事が出来ます。
これまでも述べたように、Waves CLA Effects で出来る事というのは、クリス・ロード・アルジさんが楽曲の中で実際に用いる処理からよく使うものを厳選しています。そのため、万能とは言えないまでも決してそれが足かせになるようなプラグインでもありません。
楽曲の中でアクセントを付けるには最適なエフェクトプラグインだと感じます。
頭の中で思い描いている効果が、フィルタリングや歪み、深い空間処理などのWaves CLA Effects が得意とする効果であれば、簡単操作でそれを実現出来るこれほど心強いエフェクトプラグインはないと思います。