大きい音と小さい音の差。ダイナミクスレンジが広すぎるトラックでは、小さな音が楽曲の中で聴こえづらいケースがあります。そのため、ある程度ダイナミクスレンジを揃える必要があります。
そこで使われるのがコンプレッサー。
ただ、コンプレッサーとは大きな音を潰し全体のボリュームを持ち上げることで、相対的に小さな音も持ち上げて聴きやすくするエフェクト。大きな音は潰すため、場合によっては不必要なコンプ感が付加されます。小さな音だけを持ち上げるエフェクトがあれば解決するんですが・・・
今回は小さな音だけを持ち上げるコンプレッサー、Waves MV2 を紹介します。

音を潰さずに小さな音を持ち上げる!!Waves MV2
今回紹介するWaves MV2 は、音を潰さずにダイナミクスレンジを揃えることができる魔法のようなプラグイン。音の大きい箇所は何もせず、小さい箇所だけ音を持ち上げることができます。
一般的なコンプの弊害
まずは、以下のトラックを聴いてみて下さい。
トラックとしては良い音ですが、波形から分かるように、キックの音は大きくスネアとハイハットの音は小さいです。
コンプでスネアとハイハットを持ち上げてみます。
スネアとハイハットが持ち上がり聴きやくなりましたが、音が大きいキックにコンプ感が付加されてしまいました。
敢えて悪く言うと、コンプは大きな音を犠牲にしてダイナミクスレンジを整えるエフェクトと言えます。
MV2 は大きな音を犠牲にしない
Waves MV2 は大きな音を犠牲することなく、ダイナミクスレンジを整えることができます
※MV2 OFF
※MV2 ON
キックの音色は損なわず、スネアとハイハットが持ち上がってますよね。
MV2 のLOW LEVEL を上げることで、大きな音には一切手を付けず、小さな音だけが持ち上がってきます。一般的なコンプで起きがちなコンプ感を回避しながら、ダイナミクスレンジを整えることができます。
上位版Waves MaxxVolumeとの違い
MV2 には上位版のMaxxVolume があります。

MaxxVolume はLOW LEVEL、HIGH LEVEL 共に、それぞれ独立したゲインを持っているのが特徴。MV2 はどの程度ゲインを上げるのか、下げるのか調整できませんが、MaxxVolume では調整可能です。
また、小さな音を持ち上げるとノイズまで持ち上がるケースがありますよね。MaxxVolume では、それを低減するためのゲート、全体のレベルを管理するレベラーも備わっています。
このように、MV2 でできることを、上位版のMaxxVolume ではより詳細に追い込むことが可能です。
MV2 の使いどころ
トラックのエフェクト処理をする前に、MV2 である程度均一化することが多いです。
特にギターに関しては、生楽器のためダイナミクスレンジが広く、大きな音ではエフェクトが過剰にかかり、小さな音ではエフェクトがかからないといったケースがでてきます。特にカッティングで多いです。それを少しだけ揃えるイメージでMV2 を使っています。
MV2 でダイナミクスレンジを揃えてから、アンプシミュに突っ込むイメージです。これでバランスの良いサウンドが鳴らせます。
ただ、やりすぎは禁物。あくまで補助として使うのが理想です。