マルチバンドでネックになるバランス調整が簡単に行える!!Waves L3 Multimaximizer

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マキシマイザーとして今でも使用者が多いWaves Lシリーズ。L1 から始まりL2L3L316 と続くラインナップで、僕はマスターの音圧を上げるというよりも、ドラム等のミックスバスに使うことが多いです。

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僕はマルチバンド系が苦手なため、これまでL3 Multimaximizer を敬遠していましたが、試しに使ってみたところ、独特の機能によってめっちゃ使いやすいことが分かりました。また、L1L2 とは違う太さと音抜け感のあるサウンドが得られます。

Waves Audio - 日本 - L3 Multimaximizer
デジタルの世界では絶対にあってはならないクリッピングを回避しながら、全体的な音圧を最適化したい。そんなミックス最終段階やマスタリング時に欠かせない存在となってい
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マルチバンドマキシマイザー Waves L3 Multimaximizer

太さと音抜け感のあるサウンド

L3 Multimaximizer を使う前は原音に忠実なクリアなサウンドをイメージしてましたが、低域から中低域にかけての太さが足され、中域がやや削れることで、相対的に音抜け感が出ます原音に忠実なリミッティングという意味では、L2 の方が適していると感じるぐらいです。

※L3 Multimaximizer OFF

※L3 Multimaximizer ON

上記デモは、L3 Multimaximizer をデフォルト設定で全体のスレッショルドを下げただけのサウンド。高域が伸び、音抜け感がやや足されていますよね。

この辺は、マルチバンドということが関係してそうです。トラックによっては早く引っかかる帯域、そうでない帯域が出てくるので。

マルチバンドタイプを使う利点は、そのような帯域別のリダクションを制御できるところにあります。あまり潰したくない帯域が過剰にリミッティングされるのを防ぐことで、全体の音像をコントロールできます。

ただ、その設定が結構難しい。僕がマルチバンドタイプを嫌う理由もそこにあります。

通常のシングルバンドであれば、スレッショルドを下げるだけなのに、マルチバンドでは考慮すべきポイントが多すぎる。内部設定を触れば触るほどサウンドが破綻してしまう…なんてこともありました。

帯域別に優先順位を付けよう

ただ、L3 Multimaximizer に関しては、帯域別処理の優先順位を付けるPriority によって、全体の音像コントロールが簡単に行なえます。

ある帯域が他の帯域より強くリミッティングされている場合、多くのマルチバンドタイプではその帯域のスレッショルドを上げて回避します。ただ、これでは全体のリダクション量も減ってしまうため、結局は全体のスレッショルドを下げて再度調整し直す手間があります。

L3 Multimaximizer では、帯域別のスレッショルドの代わりにPriority で調整します。これは前述したように、帯域別の処理の優先順位を付けるパラメータ。Priority を上げることで、全体のリダクション量を保ったまま、その帯域のリミッティングを抑えることができます。

要は、その帯域のスレッショルドが上がるのと同時に、全体のリダクション量を保つために他の帯域のスレッショルドが下がるイメージです。

これがめちゃくちゃ便利。

例えば、低域にリミッティングが集中してしまう場合、その帯域のPriority を上げてリミッティングを抑えながら、他のダイナミクスに余裕のある帯域のリミッティング量を増やすといったバランス調整が簡単にできます。

※Priority 調整前

※Priority 調整後

上記デモでは、Priority によって中低域と高域のリミッティングを抑え、メリハリ感のあるサウンドに仕上げています。

このように、マルチバンドタイプで敬遠されがちなバランス調整が、L3 Multimaximizer では簡単に行えてしまうがポイントです。

基本はシングルバンドとして使ってみよう

L3 Multimaximizer を使う場合、まずは求めるリダクションが得られる箇所まで全体のスレッショルドを下げましょう。

この状態で低域が強くリミッティングされているとか、中域が削れすぎているとか、バランス調整する必要が出た時に初めてPriority を触るイメージで良いと思います。要は、基本的にシングルバンドとして使う。バランス調整したくなった時に初めてマルチバンドとして使ってみる感じです。

L1、L2とL3 Ultramaximizerとの違い

シングルバンドといえば、L3 MultimaximizerL2 並みのシンプルな操作で実現したL3 Ultramaximizer があります。

L1L2 と異なるのは、シングルバンドのような見た目ながら、中身はマルチバンドということです。つまり、Priority 等の帯域別のバランス調整を手動で行わないL3 Multimaximizer のようなイメージですね。

そのため、サウンドの傾向もL3 Multimaximizer と似てるドンシャリっぽい音抜け感のあるサウンド。L2 のクリアなサウンドとは異なります。

ローレイテンシー版 L3 Multimaximizer

L3 Multimaximizer はリニアフェイズ処理を行うため、レイテンシーが発生します。そのため、ローレイテンシー版のL3-LL Multimaximizer が付いてきます。

機能的にはL3 Multimaximizer とまったく同じですが、得られるサウンドに違いがあります。L3-LL Multimaximizer の方が原音に忠実なサウンドです。

前述したように、L3 Multimaximizer は低域から中低域にかけての太さが足され、中域がやや削れることで音抜け感が出ます。そのため、引き締まりながらもメリハリのあるサウンドになります。L3-LL Multimaximizer にはその質感がなく、あくまで原音をそのまま引き上げるような印象です。

原音に忠実なL3-LL Multimaximizer の方が優れていると思われそうですが、僕はL3 Multimaximizer の色付けが大好きです。結局は好みであったり、求めているモノによって使いどころが分かれますが、L3-LL Multimaximizer の使用者が多いのも、この原音に忠実な質感が関係しているんだと思います。

Waves L3 を使ってみよう!!

L3 Multimaximizer には、操作性や質感の異なるL3 Ultramaximizer、L3-LL Multimaximizer、L3-LL Ultramaximizer が付属してきます。

俗に言われる音圧競争はなくなったので、マキシマイザーで音圧を稼ぐということはないかもしれませんが、楽曲の周波数バランスをコントロールするという意味では、マルチバンドタイプのマキシマイザーを使う機会は多いと思います。

L3 Multimaximizer はそのようなバランス調整がもの凄く簡単に行なえます。是非、一度手にとって使ってみて下さいね。