今回は、サウンドの本質は保ちながら豊かな質感を加えることができるサチュレーション、WAVES Magma BB Tubesを紹介します。
Magma BB Tubesは2つの異なる特性を掛け合わせ、豊かなサウンドに仕上げることができるのがポイント。
また、一般的なサチュレーションプラグインの難点であるコントロールのしづらさが解消されているため、破綻することなくあらゆるトラックで使うことができます。
Magma BB Tubesの魅力と使いどころを解説します
サウンドの本質は残したまま
Magma BB Tubesは、サウンドの本質は残したまま、豊かな質感によってトラックに存在感を出すことができます。
「サウンドの本質は残したまま」というのがポイント。
サチュレーションプラグインの中には、サウンドの本質を崩してしまうものもありますが、Magma BB Tubesはサウンドの本質はそのままで存在感が増すイメージです。
※ドラム BB Tubes OFF
※ドラム BB Tubes ON
上記デモでは、ドラムにMagma BB Tubesを使っています。ドラムのサウンドの本質は崩すことなく、楽曲の中での存在感が増してますよね。
歪ませるためというよりは、存在感を際立たせるために使うのがオススメです。
2つの質感「BEAUTY」と「BEAST」
前面の2つのノブで、加えるサチュレーションの質感をコントロールします。
BEAUTYは、文字通り「美しさ」。偶数倍音、特に第2倍音主体のサウンド。アナログ感溢れる耳馴染みのいい温かみがプラスされます。
BEASTは、文字通り「激しさ」。奇数倍音主体のサウンド。サウンドの輪郭や明瞭感がプラスされます。
2つの異なる質感を自由にブレンドできるのがポイント。2つの質感をブレンドすることで、あらゆるパート、スタイル、ジャンルに対応可能なサチュレーションを得ることができます。
コントロールのしやすさ
一般的なサチュレーションプラグインの難点は、コントロールのしづらさにあります。
低域が過度に歪んでしまったり、高域がシャリついたり、狙い通りのサチュレーションを得ることは意外と難しいものです。しかし、Magma BB Tubesはこれらの問題をほぼ全て解決しています。
最適なインプット量が分かるSensitivity
サチュレーションプラグインは倍音付加という特性上、インプット量が変わると歪み方も変わってしまうため、最適なインプット量が重要になります。
Sensitivityによって、誰でも簡単に最適なインプット量に調整可能。LEDの点灯から最適なインプット量が目で見て判断できるため、初心者でも簡単に最適なインプット量を調整できます。
低音を回避するBass Relief
サチュレーションプラグインを使うと、低音がひっかかって潰れてしまうことも多いです。
Bass Reliefによって低音を回避することで、低音のアタック感などを犠牲にすることなくサチュレーションをコントロールできます。
高域が調整できるトーンコントロール
サチュレーションプラグインを使うと、高域がシャリつくことがあります。
トーンコントロール(Tone PreとTone Post)を使うことで、サチュレーションに突っ込む前後の高域を調整可能。
高域を過度に歪ませないように、Tone Preで高域をあらかじめ削っておき、処理した後、Tone Postで持ち上げて高域を復活さることで、耳障りなシャリつきを回避できます。
パラレル処理
Dry/Wetコントロールによって、原音とエフェクト音のバランス調整が可能。
過度に処理したサウンドをパラレル処理することで、原音とエフェクト音のメリットが活かせます。
驚くほど豊富なプリセット
著名プロデューサーやエンジニアによって作成された、驚くほど豊富なプリセットも用意されています。
イメージしている質感に近いプリセットを選んで微調整する使い方もオススメです。
効果的な使用例
以下では、Magma BB Tubesの使用例として、ドラム、ボーカル、マスタリングの過程を紹介します。もちろん、使用例以外でも様々なトラックで使用できます。
ドラム
ドラムの存在感を出してみましょう。
※BB Tubes OFF
※BB Tubes ON
BEASTを上げめにすることで、意図的にドラムの輪郭や明瞭感を上げています。
ここでのポイントはBass Reliefとトーンコントロールにあります。
ドラムは低域から高域にかけて幅広く含まれているため、そのままサチュレーションに突っ込むと、低域のキックが過剰に歪んで潰れてしまったり、ハイハットなどの金物系が耳につくサウンドになってしまいます。
そこで、Bass Reliefで低域を回避してキックのアタック感を残しながら、トーンコントロールでサチュレーションに突っ込む前後の高域を調整しています。
このようなコントロールのしやすさが、Magma BB Tubesのポイントです。
ボーカル
もちろん、ボーカルにも最適です。
※BB Tubes OFF
※BB Tubes ON
上記デモでは、BEAUTY上げめで耳障りのいい温かみメインで使っていますが、ロック系の迫力のあるボーカルにしたい場合はBEAST多めで激しさをプラスするなど、楽曲のジャンルによってサチュレーションの質感をコントロールできるのがポイントです。
また、今回のデモのように、サチュレーションに突っ込む前後の高域をトーンコントロールで調整することで、ボーカルのメイン帯域である中域にフォーカスして処理することもできます。
マスタリングの過程
マスタリングの過程においても威力を発揮します。
※BB Tubes OFF
※BB Tubes ON
明瞭感のある、一段と磨きのかかったサウンドになってますよね。
ここでのポイントは、Dry/Wetバランスによるパラレル処理です。
マスタリングの過程でサチュレーションプラグインを使う場合、かけすぎないことが重要になります。Dry/Wetバランスによって、原音とエフェクト音のメリットを活かした処理を試してください。